Poetry
馬鹿野郎な僕が「幸せなんて要らないさ」 そう言いながら涙ぐんだあの日を思い出したんだ 朝日を見ないように 僕等は逃げるように眠りに就いた そんな夜明け 人ごみに紛れていれば まだ 安心できると 君の呟きが胸を刺した 流布する妄言の数々を 君は一つ一つ指で数えて 人の歴史を石ころで喩えたね 何故だか分からないけれど いきなり泣き出してしまった僕 君は何も言わなかったけど そっと手を繋いでくれたね...

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急に全てが静かになって 君の笑顔が頭から離れない事に気づいたんだ 静かに雨が降りてきて 君の頬が少し紅くなった 生い立ちなんかを話したりして 笑い合えたのはいつだったのだろう 寄り添ってはキスを繰り返して 抱き合っては"このまま"を求め続けて 続くことは無いと 君が知っても 繋いだ手を振り解く事が出来なかった 君を傷つける事が怖くて でもそれが君を一番傷つけていたんだね 君の居ない夜を数えては ...

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黒い紙 一枚 そこに苦痛を書いてみた 黒い万年筆で沢山 沢山 書いてみた 白い紙 一枚 そこに欲しいものを書いてみた あんまり無いけど、手に入らないものばかり 白い鉛筆で書いてみた そんな事ばかり繰り返していた すれ違いざまに君が落とした 楽譜を何度読んでも 何の曲だか分からない 返そうにも君の名前すら知らない 鎖と翼は二つで一つ 君が落とした楽譜を弾いてみた 奏でた旋律は見たことの無い色...

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あの日 貴方が俯いたままで何かを発するのを 待ってる事しかできなかった私 私 そんなでも 幸せだったんだよ―― 初めて貴方に出会った日 眩しいまでの笑顔に 私の中の何かが浄化される気がしたんだ 二人で夜の海に出かけた時 数時間後の朝なんて知る由も無く 霧がかった朝 他に誰も居ないかのような静かなドライブ 疲れ果てていつの間にか二人して寝てしまった休日 ふと目が覚めた時 目の前には貴方の寝顔が...

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君はハリネズミみたいに 全身の毛を尖らせて ご丁寧に切っ先を綺麗に磨いて そんな君に一つ問おう 「前は見えてるの?」 壊れたおもちゃを一体いつから 躊躇無く捨てられるようになったの? 「空が遠いなぁ」なんて 自分が宙を飛んでいる事を一体いつから 忘れてしまったのかな? そんなに地面ばかり見つめて 「何を落としちゃったんだい?」 「何を落としたのかさえ忘れちゃったんだよね」 「成程ね、それでそこ...

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其の問い掛けに どう答えようか 君の背負った痛みが 結晶となって降り注ぐ茨の道に 差し伸べる手の方角が 私には分からない 何を忘れたら、得られるのか そして、失うのか きっと敵う筈も無く だけど抗う事しか知らない私達 この非力さが恐らくは そのものに働く解なのだろう 砕け散った夢を 精一杯の誠実さで繕ってみても 翼にするには足りなくて 靴にするには脆過ぎて そうして気づいたのは ちっぽけ...

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潤いの無い君の煙草を吸う指が 喝采の降り注ぐ頭上へと掲げられた 眩しそうに陽光を指で遮って 不意に思い出した様に 聴いたことのある昔の歌を歌い出したね スコールに打たれながら 確かに君は笑っていた 路地に咲いた一輪の花の 終わりの話を君が教えてくれた 寒がりの君の白い肌が薄く汗ばんで 私の淡い期待は焔へと変わる 向こう岸の島の形はどんなだったか 海の色すらもどんなだったか きっと私は思い出す事...

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