Hearts

この記事は一年以上前の記事です。

一つの雫
昔から本を読むのが好きだった どんな本でも良かった
綴られた文字を読むというより 食べていたんだと思う どれだけ食べても空腹はおさまらなかった
文字じゃ足りないのかと思って映画を沢山観てみた
食べれば食べるほど空洞は広がっていって・・僕は我慢ができなかった だからといって空洞を小さくする方法を僕は知らなかった

二つ目の雫
家の洗面所から見える山々を眺めながら”上がったり下がったり そういうものなんだろう”と思っていた そういうもの・・であって欲しかったのかもしれない
外を歩けば針の記憶が飛んでくる
そういう事ばかり・・僕は我慢ができなかった

三つ目の雫
男は「そこはダメだ!」聴いたことのない大きな声で叫んだ
私が驚いてよろめいたら男は必死の形相で私の服の襟元を掴み 私を突き飛ばした 男は反動で私の反対側へ転んだ
私は立ち上がり男に手を伸ばそうとしたら 男は違う顔になっていた 私はそれを見て 手を引っ込めた
男は何かを話したようだが男の言葉は認識できなかった 聞き返そうとすると男は居なくなっていた

四つ目の雫
世の道理と謂われる矛盾とやらを認めようとしない人を食い物にしてきた
崩れ落ちる人格を自らの養分として喰らった 藻掻こうと足掻こうとしているその人形の前に立ち、その力ですら養分として喰らった
そうして計画通りに全ての痛みが私の元へと帰ってきた

そういう事ばかり繰り返してきた
雫は肉体という杯に落ちては浸食していった
これは全て私への復讐だった
私を壊そうと そういう方法でしか救われないと思っていたんだ

杯から零れ落ちた雫は何色だと思う?

—-3/4

Ren_Wall_Blood_Fire

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