黒い紙 一枚
そこに苦痛を書いてみた
黒い万年筆で沢山 沢山 書いてみた
白い紙 一枚
そこに欲しいものを書いてみた
あんまり無いけど、手に入らないものばかり
白い鉛筆で書いてみた
そんな事ばかり繰り返していた
すれ違いざまに君が落とした
楽譜を何度読んでも
何の曲だか分からない
返そうにも君の名前すら知らない
鎖と翼は二つで一つ
君が落とした楽譜を弾いてみた
奏でた旋律は見たことの無い色...
Poetry |重ねた手の平
あの日
貴方が俯いたままで何かを発するのを
待ってる事しかできなかった私
私 そんなでも 幸せだったんだよ――
初めて貴方に出会った日
眩しいまでの笑顔に
私の中の何かが浄化される気がしたんだ
二人で夜の海に出かけた時
数時間後の朝なんて知る由も無く
霧がかった朝 他に誰も居ないかのような静かなドライブ
疲れ果てていつの間にか二人して寝てしまった休日
ふと目が覚めた時 目の前には貴方の寝顔が...
Poetry |Free sea
君はハリネズミみたいに
全身の毛を尖らせて
ご丁寧に切っ先を綺麗に磨いて
そんな君に一つ問おう
「前は見えてるの?」
壊れたおもちゃを一体いつから
躊躇無く捨てられるようになったの?
「空が遠いなぁ」なんて
自分が宙を飛んでいる事を一体いつから
忘れてしまったのかな?
そんなに地面ばかり見つめて
「何を落としちゃったんだい?」
「何を落としたのかさえ忘れちゃったんだよね」
「成程ね、それでそこ...
Poetry |しるし
其の問い掛けに どう答えようか
君の背負った痛みが
結晶となって降り注ぐ茨の道に
差し伸べる手の方角が
私には分からない
何を忘れたら、得られるのか
そして、失うのか
きっと敵う筈も無く
だけど抗う事しか知らない私達
この非力さが恐らくは
そのものに働く解なのだろう
砕け散った夢を
精一杯の誠実さで繕ってみても
翼にするには足りなくて
靴にするには脆過ぎて
そうして気づいたのは
ちっぽけ...
Poetry |チェイン
潤いの無い君の煙草を吸う指が
喝采の降り注ぐ頭上へと掲げられた
眩しそうに陽光を指で遮って
不意に思い出した様に
聴いたことのある昔の歌を歌い出したね
スコールに打たれながら
確かに君は笑っていた
路地に咲いた一輪の花の
終わりの話を君が教えてくれた
寒がりの君の白い肌が薄く汗ばんで
私の淡い期待は焔へと変わる
向こう岸の島の形はどんなだったか
海の色すらもどんなだったか
きっと私は思い出す事...
Poetry |その道を行け
俯いてばかりのあの頃
見上げた蒼空に見つけた白い月
寄せては返すさざ波に
深い愛を感じたよ
其処に辿り着く為の術なら
幾つも幾つも試したよ
君のシルエットが
美しく見えたあの日から
遠く 聞こえない筈の声が
私には 聞こえたんだ
"大丈夫"
其れを正解とすれば何が得られる?
"現実より救済を 救済より真実を"
そんな戯言が何になる?
刻むビートに煮えたぎる体液
生死すらも両手に握り締め
素...
Poetry |嘘
眠れなくて仰いだ空
君がくれた指輪を眺めて
確かに在った温もりを忘れないように
大切に紡いでゆく
反逆者達が昨日を求めて
明日を焼き尽くそうとする
共に酒宴に語り合った夜明けが何故か
忠実に焦燥をかたどってゆく
朝靄を突っ切って走った
終わらない二人きりのドライブ
出逢った夏がもうすぐ来るね
あどけない顔で笑うから嘘がつけないよ
捨てられなかった
お揃いのマグカップ
使う事なんて一度も無かっ...







