Spades
この記事は一年以上前の記事です。
伏せたカードの裏を見たうえで見なかった事にしたいだなんて その気持ちは少しだけ分かる
でも
「こんなつもりじゃなかった」なんて 誰を責めるつもり?
「明日なんて来なくていい」なんて 明日以外に何を望むの?
極上の孤独を噛みしめながら「寂しい」なんて呟いたって誰も聴いてないよ
次のカードを引くか否か 悩んでいたんだ
引かなければ負ける 引くと勝てるかもしれないし負けるかもしれない
それなのに 悩んでいたんだ
君の視界に私が入ったあの瞬間 街路地に一つの刃を見つけたんだ
その刃を強く強く磨いた
何かを壊したかったわけじゃない
何かを護りたかったわけでもない
何かを変えたかったわけでもない
ただ刃の美しさに魅了されただけなのかもしれない
膂力を鍛えて 刃を更に鋭く鋭く磨き続けた
歯車は核となり増殖し新しい装置へと生まれ変わった
耕した土に蒔いた種は身を結び新しく種を生み出した
杯から零れ落ちた雫は地面へと落下して 次第に蒸発していった
星が裂ける 音が聞こえた気がした
磨き続けた刃は 薄く薄く 最後には崩れ落ちて粉になった
刃の粉を手に取ってみると 欠片が残っていたのか 指に小さな傷を負った
赤い血が少しだけ流れたから舐めてみると鉄の味がした
震えながらカードを裏返したら舞台の幕を下ろすカラクリが動き始めた
やっぱり借り物の刃の欠片なんかじゃダメだなぁ
アンコールも拍手も聞こえない そもそも観客なんて居やしないけど
第二幕も君らのルールで 君らの土俵で だけど今度は自前の刃で勝負を挑んでみようか
君が参ったって言ったってやめないから覚悟してね
—-4/4 完
改めて読んでるがこの4連作いいな。やってみたい。
ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ!
最初のDiamondsを書く時に4連作にしようと思ったんだ。
自分の中で何かこう・・区切りとなるようなモノを書き出しておきたかった。
4という数字にこだわりは無かったけど、きりがよかったので4・・・・4つにするなら、スートかな(スート – Wikipedia)。
このSpadesはサクッと書きたかったんだけど、思いのほか苦労した。