雫
この記事は一年以上前の記事です。
私は臆病だから 貴方に差し出した器を要らないと言われただけで とても哀しくなるんだ
たった一度の失敗で もう二度と器を差し出せなくなるんだ
夕べ乗り込んだこの汽車は 何処へ向かっているのだろう
私の翼は重い 重過ぎて歩けやしない
ただ ただ 時間が動いていく
思い出すものも無く 頭を抱えては溜息だけが積み重なっていく
湧き上がる情動 振りかざす衝動
噴水前で待ち合わせだなんて ベタな事をする貴方は なんて自然に笑うんだ
記憶が私の声を止めて 恐怖が私の足を止める
もう朝の筈なんだけど 延々とトンネルの中を走り続ける
貴方に貰ったチョーカー 意味なんて無かったんだね
選択を謳う世界が回っていく
薄れゆく貴方の音 耳を閉じては脳内で反復させてたんだよ
溢れ出した愛情 零れ落ちた劣情
いつもの貴方はあと30分で起きて シャワーを浴びて 朝食をいつも残して 何処かへ出かけてしまう
ごめんなさい
朝食は少し冷たいけど きっとお口に合う筈だから ちゃんと食べるんだよ?
夕食は無いけど 外で買ってきちゃダメだよ 材料はあるから簡単なものでも作るんだよ?
いつも上手く出来ないのは 私が悪いんだね
誰かに期待する事が出来ないから 自分にも期待出来ないんだ
何が悪かったか分からない私はここに居ちゃいけないんだよね
だから誰も乗る事の無いこの汽車に乗りました
そう言えば 一つだけ言うのを忘れちゃったな
貴方は熱帯魚を飼いたがっていたよね 私は熱帯魚は好きだけど水槽が嫌いだったの
大嫌いだったの
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