Poetry |重ねた手の平

この記事は一年以上前の記事です。

あの日
貴方が俯いたままで何かを発するのを
待ってる事しかできなかった私
私 そんなでも 幸せだったんだよ――

初めて貴方に出会った日
眩しいまでの笑顔に
私の中の何かが浄化される気がしたんだ

二人で夜の海に出かけた時
数時間後の朝なんて知る由も無く
霧がかった朝 他に誰も居ないかのような静かなドライブ

疲れ果てていつの間にか二人して寝てしまった休日
ふと目が覚めた時 目の前には貴方の寝顔があって
”嗚呼 こういう事なんだな”って
私は 私は――

二人の手を重ねてみて
貴方の手はとっても大きくて
私の手を貴方の両手が包み込んで隠してしまった時
私 何故だか泣いてしまったね

囲い猫 籠の外に 迷い猫

ずっと私の中にあった違和感の意味を
初めて知った朝
太陽の位置すらも分からなくなった

上手く騙せない貴方 捨てきれない私

遠回りして 嘘みたいに沢山の涙を流して
容赦無い冬の寒さに消えそうになった
私の中の最後の焔

整理していた携帯のアルバムから出てきた貴方の笑顔
「きっと 幾つの輪廻を重ねても出会えない」
初めて流す涙の意味は
あっけなく臨海公園のベンチで隣に座った貴方の笑顔が教えてくれたね

今 再び重ねた二人の手
前と違うのはお揃いのシルバーリング
これからは二人
「おやすみ」と「おはよう」を共有していくんだね
同じ鍵を重ねて笑う二人
今日も明日も「ありがとう」

2010/08/12 Written by漣 風華

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