Poetry | 白い沼
この記事は一年以上前の記事です。
誰も居ないからと キミは云った
キミは この世界には誰も居ないと云った
自分の存在すらも認めなかった
黒い沼のまっただ中で 静かに 静かに 漂っていながら
それを心地良いとすら想っていた
知りたくない事ばかりを知って 他人の痛みだと言い聞かせながら
緋いものを流して笑ってる
夜風は 何も無いかのようにキミの躰をすり抜ける
いっその事 風になってしまいたかったキミは
何度も 何度も 何度も何度も躰を壊そうとした
上手くいくように助言も沢山したけれど 結局 躰は壊れなかった
血迷ってなんか居ないと キミは云った
キミは 少し業が深いだけさと云った
しっかりとした目線で云った
日記だったり つぶやきだったり 日々残してゆくもの
それはキミの大切な遺書
知ってることを何一つ話すことはなく カーテンの向こうを見る為に
錠剤を流し込む 流し込む
何処に行っても 何処にも行けない事が確認できるだけ
此処に在る己を漸く認識したキミは
八年前のカレンダーを漸く捨てて 最後にこう話したんだ
「私は 白い沼に植えられた華 だったんだよ。
風じゃないけれど 何にでもなれる華なんだ。」
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