Poetry |贖罪の朝

この記事は一年以上前の記事です。

例えば何かに心溶けるまでに
奪われる瞬間が其れだとして

弱ってゆく君の握力に
愛おしさを覚えても
朧気に霞みゆく視界に
冷静さは彼方へ遠ざかってしまうよ

赤くて甘い君の
滴り落ちる血を掬ってみても
注ぎ込む口が何処にも見当たらないんだ

例えば月夜に咲かせた愛欲が
穢れなき切望と歌う事実だとして

息も絶え絶えな君の
弦を奏でる指が途絶えた時
焼け爛れた夕紅に
堕ちゆく定めが知られずの理を破った

白くて薄い君の
背中にナイフを突き立てた朝が
前触れも無く乾からびた宙の終わりを告げた

この嗚咽を止めて
愛しているよと呟いて
その声だけを忘れずに生きてゆくから

2010/01/23 Written by漣 風華

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