Poetry |痛みの天使達の味

この記事は一年以上前の記事です。

与える事と──貰う事は違うと思っていた

その娘達は口々に私に問うた
「アナタは人の生を止めたことがありますか?」
いつも答える
「アナタで二人目だよ だから安心して・・」

書き残された日記──誰のものかは未だ不明
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知らない駅で–知らない車に乗ったんだ
知らない道を通って–知らない家で寝ていた
知らない町はだんだんと–夕日と朝日を覚えていった

雪を知らないボクと–雪を知らないその町は
なんとなく似ていて–少しだけ居心地が良かったんだ
君は帰るといつも–痛いものばかりを思い出して
ボクが翳した手だけを信じて–眠りに就いていたんだ

大好きな花は彼岸花
炊き立てのご飯が大好きで
白いシャツと黒いズボンがいつものスタイル

海は大好きだけど 泳ぐのは苦手
誰ものポケットになりたくて
自分のポケットを見失った そんな一つがここに居る

陽だまりが欲しくて 陰に陰に隠れてた
どんなに隠れても いつだってそこにある
そんな陽だまりが どうしても どうしても欲しかった
————-//
繋いだ指先から一つずつ
娘の姿が崩れて墨になってゆく
私はそれを書き留めるだけ──書き留めるだけ

愛しかったんだよ──そう──愛しかったんだ
お互いの視線がお互いの脳髄を直視する感覚
甘い甘い死を伴うプレッシャーの中で
君が私を知って──私が君を知って

いつか壊し合う日は遠くなく
君の指だけを繋いで
ただ底を──底を舐めていた

幾多の生を踏み躙っても
時間だけが怖かった──時間だけが──時間だけが
そして私達は
与える事と──貰う事は違うと思っていた
それは最高に大切な時間だった

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