Poetry |明かした夜に残ったもの
この記事は一年以上前の記事です。
滞った空気も
甘い君の寝顔も
総てを振り払うような禊の朝日
遠く使い古された言葉は
溶けきれなかったコーヒーのようで
切り落とされた幕に振り向きもせず
少し駆け足で君は扉から出て行った
淀みを携えたままで
長い 長い坂道を
大好きな歌だけを延々とループさせながら
その先を知らずに歩くんだ
静かに始まる朝を 怖いと思っていた
暮れ行く夕陽に止め処なく 安堵の涙も流したりした
総ては同じで 全ては違っていて
曖昧なモノに背中を向けて
色んなモノを忘れていったんだ
掴めなかった手も忘れてしまいたくて
掴める手を見ない振りをしてた
そうして辿り着いたところにあったのは
一番忘れたかったものだったね
“ありがとう”が素直に言えるようになれる頃
君の淹れたコーヒーの味が舌に流れたんだ
“ただいま”に躊躇いが無くなった頃
君の駆け足の意味がやっと分かったんだ
もう日も暮れるから 勇気を出して言ってみようと思うんだ
生活を しよう
そしたら君はきっとまた凄く苦いコーヒーを淹れてくれるんだろうな
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