Poetry |うろ覚えの爪の味

この記事は一年以上前の記事です。

はにかみ方を覚えたのは いつの頃だっただろう
血の味の方を先に覚えたのは ボクの歪みだったのかな
憶える事よりも思い出す事ばかりに夢中だったあの頃
ボク達は違和感も無く 毎日を喰らい続けていたね

生きる事に違和感を持たず
寝食と 悦楽と 痛みに興じていた
やがて其れがキミの指を砕き
キミの朱がボクの黒を幾つかの色に分離させた

本当は囚われないで居て欲しかった
本当は知らないで居て欲しかった
ボクの穢くて大切な想いなんて キミの艷やかな頬を冷たくするだけだから
本当は奪われて欲しくなんてなかった
本当は柔らかく囁かれたくなんてなかった
キミの美しくて無駄な想いが ボクの何も無かった筈の時間を埋めてゆくから

痛いモノも 哀しいモノも キミの目を腫らすモノは
総てがボクの中に入っていけばいい
そう思って 入り口を沢山つくっていた
その入り口が出口にもなるなんて思ってもいなかった
それがボクがキミに謝りたい事の総てだ

キミと出逢ってごめんなさい キミを愛してごめんなさい
ボクが同じ時代に生まれてごめんなさい
なんて そんな戯言を云うつもりは無い
ただ一つだけ あの時隣に居てくれて ありがとう

そしてボクは爪を囓ってみた キミの血と同じ 甘い味がしたよ

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