一人旅-part19
この記事は一年以上前の記事です。
縄文杉に会いに行く。
どうやら登山届が必要だったと後になって知った。
あの時私は薄いシャツとズボン、買い物袋というあり得ない軽装で登ったわけだww
朝早くに起きて、おじちゃんが握ってくれたおにぎりと財布だけを持ってバス停へ。
バスに揺られること一時間、窓の外には鹿やヤクザルが居た。
目的地に着いて、観光客たちがぞろぞろとバスから出てきて、案内に従って進む。
私はそれに紛れて進む。
最初はトロッコ道が延々と続く。
みんな登山の格好してるからゆっくりだけど、私だけは軽装なのでスイスイ進む。
一時間半ほど進むとトロッコ道が終わり、完全に山道になる。
進めば進むほど険しくなる道。
何も考えず、ただただ島に従って進んでいった。
そして一時間半ほど、険しい山道を進んだ先に展望台があった。
杉の根を痛めないよう、杉の数メートル手前に展望台が設置してあった。
展望台をゆっくり・・ゆっくり上り、登り切ったところで前を向いた。
縄文杉が居た。
「こんにちは」って言ってみた。
そうしたら・・多分信じてもらえないだろうけど・・
「こんにちは。 ・・ ・・ 大丈夫だよ。」って聴こえたんだ。
思わず周りを見渡したけど、トップスピードで登ってきた私の周りに人は居なかった。
縄文杉が「大丈夫だよ」って言ってくれたんだ。
私はもう口を開く事は無く、ただ・・縄文杉を恋しく・・愛しく見つめていた。
縄文杉と 屋久島と 話をして 幸福な 幸福な時間だった。
四半刻ほど見つめていただろうか、他の観光客が追いついてきたので、私はその場を後にした。
山道を降り、トロッコ道を戻り、バスに着いたが発車までは時間があった。
おじちゃんが握ってくれたおにぎりを食べてたら・・涙がこぼれた。
嬉しかったわけでも 哀しかったわけでもない だけど大きな涙の粒がボタボタとこぼれ落ちた。
おじちゃんの部屋に帰った私は また呑みながら記念に写真を撮ってもらい、おじちゃんにこう言ったんだ。
「おじちゃん、明日 帰るよ。」
おじちゃんは「次はどこか行くのか?」って聞いてきた
私は「ううん、もう何処にも行かない。 帰るよ。」
おじちゃんは寂しそうに
「そうか、分かったよ。みっちゃんの決めたことだ。おじちゃんにどうこう言う権利は無い。
だけど、おじちゃんはいつでもここにいるから。なんかあったらいつでも屋久島に来なさい。
それからみっちゃんは女癖が悪いから、ちゃんと気をつけるところは気をつけなさい。」
私が「ありがとう おじちゃん。最後の一言、グサッときたよ」
なんて言ったから二人で大笑いwww
最後の夜 相変わらずぐっすり眠れた。
つづく
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